セツナレンサ

対話のあるせいかつ

ふつうに遅れました

 

どようび

足が素直にズボンに入ってくれなかったり

携帯を入れようとしたぽっけのチャックが閉まっていたり

ドアノブを引いて歩きだすが、服が引っかかっていてぐんと引き戻されたり

自転車のカギを刺そうとしているのにグズグズと入ってくれなかったり

右に曲がろうとしたとき、ちょうど中学生の列に通せんぼされたり

信号がぎりぎり黄色になったり

そういう積み重ねで人は遅刻する。こともある。

中学生のころ一瞬行っていた塾にいた遅刻しがちな生徒のことを思い出す。

遅刻の理由を聞かれた彼は「ふつうに遅れました」と言っていた。

先生は「意味がわからない、そんなわけないだろ」といっていたが、私はなんて嘘偽りのないまっすぐな言葉だろうと好意的に思った。

ふつうに遅れる。

それ以外になんて表現すればいいのだろう。

全然ふつうに、わたしは遅れる。

 

すいようび

ふらっと入った喫茶店で出会う。

私は「趣味:喫茶店めぐり」と言ったらほんの少し過言くらいに喫茶店が好き。

パソコンを充電しながら作業をするべくコンセントを求めて喫茶店へ。

自転車を中途半端にとめて「コンセントありますか?」と聞くとあると言われたので、自転車をとめなおして店に入った。

邦楽のレコードが壁一面に飾られていて、The Birthdayが流れていた。

「おなかすいてますか?すいていたらお得なランチもありますからね」と言われる。

知らない人におなかすいているかを聞かれるなんてくすぐったくてあたたかい。

頼んだツナサンドもおいしすぎて母親にLINEしてしまった。

店主の方と少し話していると、なぜかするするといつもはしない哲学対話の話をしていた。

すると、喫茶店を開いているとそこが誰かの居場所になっていくという経験を話してくれた。

手段はどうであれ、どんな場所にも居場所づくりをしている人はいるなとうれしくなる。

私も対話頑張ろう。

ちなみに結局充電器は家に忘れていて、パソコンの残電池に急かされるように作業をした。

 

げつようび

ある人に手紙をかく。

ぼこぼこと涙がでる。

恩師であったはずが、思い返すと私のことをいじめていたことに気が付いた。

この複雑な気持ちのやり場がない。

 

もくようび

「考え続けちゃうんですよね、考えても意味ないってわかっているんですけど」

吐かれた言葉、きっと彼が意図したよりずっと重く受け取った。

隣で自転車を漕いでいるのに、寒くて真っ暗な夜はとっても孤独で怖くなる。

冷たい風がバシバシと当たっている感覚だけがこの世界とのつながりみたいに思えた。

思考の切れ目がないこと。

これはつらいことなのか。だめなことなのか。

切れ目がないからお風呂にも入れないし、朝が来てしまうこともある。

考えても意味ないよ、と今まで何回言われたっけな。

大学に入ってからこの呪縛から解放されつつある。

考えていてよかったと思う。

それなのに「そうだよね」しか言えない。

でも考え続ける君のこと、私は否定しないよ、と思う。

言えないけど思う。

 

きんようび

懲りずに今日も対話。

剥き出しのまま話すからすぐ泣いてしまうよ。

涙腺のゆるさが深刻。

ほんとうのことをいうと涙がでてしまうから、対話中は基本的にずっと泣きそうになってる。

のどが絞まって声が出なくなる。

泣きそうなのは、人に伝わってしまってるだろうか。

対話の場はちょっとしたことがいろいろな影響を及ぼす。

私にとって私の涙は呼吸と変わらなくても、誰かにとってそれが話しやすさを阻害したりする。

だから泣くのを我慢する。

はじめに「泣くのを我慢しなくていい」というルールを設けたい。

みんなも自分を解放するルールを設けてから対話してほしい。

 

かようび

潜り込んでいる1年生のゼミ。

TAの4年生と毎週始まるまで隣に座って話す。

なんとなく毎週「今日の季節」について話すのが恒例になってる。

今年の9.10.11月は、暑すぎたり、寒すぎたり、暑そうで寒かったり、寒そうで暑かったりだ。

「今日は秋晴れだ〜。いや今日ニット来てる人多いから冬かも」

「暑すぎる…今日夏だ…先週冬だったけど……」

「暑いけど11月だから流石に夏は無理あるって」

「たしかにね、暑い日も夏と言いきれなくなってきたなあ」

4年の秋。いや、冬かも。夏かも。

いずれにせよこの日々はあと少しで終わる。

春かもよ、とはいえずに終わる。

夏と判定する日は無くなり、季節が進んでいることを言わずともジリジリと感じている。

社会人の忙しさに飲み込まれて、このことを忘れるのは嫌だと思う。

 

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